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「就労継続支援A型事業所のディーセント・ワーク達成度評価表」のテスト版を公開します。よろしかったら、お試しください。

625日、26日に横浜市で開催する「中小企業家同友会 障害者就労継続支援A型事業者全国フォーラム」では、全国からA型事業者が参加し、「良きA型モデル」を築くために、私たちは何をなすべきかをテーマに、実践の交流やグループ討議をおこないます。フォーラム開催実行委員会からは、実践報告や討議に先立ち、問題提起をおこないます。

 

その中で、「良きA型モデル」を築くために、現在の事業所のとりくみを、「ディーセント・ワーク」の視点から客観的に評価する「指標(基準となる尺度を示すもの)」の必要性について述べています。今回は、この「指標」についての説明と、テスト版「指標」の公開です。

 

「ディーセント・ワーク」は、一般的には「働きがいのある人間らしい仕事」と訳されます。

「働きがいのある人間らしい仕事」という概念は素晴らしい理想です。しかしながら、何がどのレベルに達したときに、ディーセント・ワークが達成されるのかという基準は、曖昧です。障害のある人のディーセント・ワークを実現するためには、具体的な行動計画に関わる目標が提示され、各事業所の現況が、その目標に対して、どの程度の達成状況にあるかを把握し、足りないものは何か、優先的にとりくむべき課題は何かを知ることが大切です。

 

わが国では、厚生労働省が、ディーセント・ワークの内容について、次のように整理しています。

 

(1)働く機会があり、持続可能な生計に足る収入が得られること

(2)労働三権などの働く上での権利が保障され、職場で発言が行いやすく、それが認められること

(3)家庭生活と職業生活が両立でき、安全な職場環境や雇用保険、医療・年金制度などのセーフティネットが確保され、自己の鍛錬もできること

(4)公正な扱い、男女平等な扱いを受けること

 

 何度も繰り返しになりますが、「ディーセント・ワーク」は、21世紀の全世界・全労働者の実現目標として、ILOが打ち出した概念です。厚生労働省は、この「ディーセント・ワーク」の概念を普及していくために、平成23年度に、みずほ情報総研に委託し、「ディーセント・ワークと企業経営に関する調査」をおこなっています。委託を受けたみずほ情報総研では、企業のディーセント・ワークの達成度を数値的にとらえるために、厚生労働省が定義した上記のディーセント・ワークの内容について、再整理をおこない、次の7つの軸を設定しました。

 

①ワーク・ライフ・バランス軸:「ワーク」と「ライフ」をバランスさせながら、いくつになっても働き続けることができる職場かどうかを示す軸

②公正・平等軸:性別や雇用形態を問わず、すべての労働者が「公正」「平等」に活躍できる職場かどうかを示す軸

③能力開発軸:能力開発機会が確保され、自己の鍛錬ができる職場かどうかを示す軸

④収入軸:持続可能な生計に足る収入を得ることができる職場かどうかを示す軸

⑤労働者の権利軸:労働三権などの働く上での権利が保障され、発言が行いやすく、それが認められる職場かどうかを示す軸

⑥安全衛生軸:安全な環境が確保されている職場かどうかを示す軸

⑦セーフティネット軸:最低限(以上)の公的な雇用保険、医療・年金制度などに確実に加入している職場かどうかを示す軸

 

また、各軸の達成度を評価するための基準となる項目を挙げました。

 

①ワーク・ライフ・バランス軸:労働時間、年次有給休暇、育児休暇、介護休業などの取得状況、中高年齢者の雇用確保や定年、非正社員から正社員への登用制度など

②公正・平等軸:役職別女性管理職比率、男性と女性の処遇格差、女性の能力発揮を図るための取り組み(ポジティブ・アクション)など

③能力開発軸:計画的なOJT、自己啓発支援、自己申告制度、社内公募制度など

④収入軸:年収額、定期昇給、ベースアップ、業績評価による反映、正社員と非正社員の処遇格差の改善、一人当たり法定外福利厚生費など

⑤労働者の権利軸:労働組合の有無、労使間の話し合い、苦情処理機関、労働条件の個別説明など

⑥安全衛生軸:産業医、衛生委員会、定期的な健康診断、メンタルヘルスなど

⑦セーフティネット軸:健康保険、厚生年金保険、私傷病時の休職制度など

 

 この調査自体は、従業員1000人以上の大企業を対象におこなわれたことに加え、回答数も少なかったため、ディーセント・ワークの概念の普及に大きな役割を果たしたとは、言い難い面もありますが、企業がディーセント・ワークの実現に向けたとりくみを進めることで、従業員の満足度やモチベーションがあがり、結果的には「平均勤続年数の長期化」や「売上高の上昇」「経常利益の上昇」といった人事面、経営面における成果につながるであろうと結んでいます。

 

 全国フォーラムの問題提起の中で、提案させていただく「指標」は、みずほ情報総研が再整理した「ディーセント・ワーク」の概念に関わる7つの軸を準用し、「合理的配慮」が標準装備された障害のある人の働く場である就労継続支援A型事業所の「ディーセント・ワーク」の達成度を測り、各事業者が「良きA型モデル」を築くために必要な課題を把握する一助となることを目的に、実行委員会で作成したものです。

 

 余談になりますが、私自身は、当初、この「指標」を就労系の障害福祉サービス(就労継続支援A型、B型、就労移行支援、及び訓練手当を支給している一部の生活介護事業所も含めて)全体で、使えるものにできないかと考え、7つの軸に基づく評価基準をつくろうと試みました。しかし、その場合、どうしても福祉的な視点が強まってしまい、結果的には、「ディーセント・ワーク」が本来めざすべき方向性とのずれを感じるものとなってしまいました。そのため、今回の「指標」は、就労継続支援A型事業所のみを対象とするものに、改めて作り直しました。

 

 問題提起の予定原稿でも触れていますが、今回の「指標」は、試験的なものであり、まだまだ不十分な箇所もたくさんあります。15分程のお時間があれば、すべて記入できるものとなっています。すべて記入すると、貴事業所の「ディーセント・ワーク」の達成度が7つの軸のレーダーチャートで点数評価されるようになっています。平均点は、仮の数値を入れたものなので、無視してください。「良きA型モデル」を築くために、たとえば点数評価の低いものから優先的に改善にとりくむなど、各事業所で独自に行動目標を定める際のお役に立てればと願っています。実際にご使用いただいた上で、ご意見、ご感想などをお寄せいただければ、大変有り難く存じます。テスト版は、下記からダウンロードできます。Excelのファイルになっています。

「decentwork-hyouka.xlsx」をダウンロード

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