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3.11を忘れない決意をいまいちど。


重松清の本。
「希望の地図 3.11から始まる物語」。

最初に、単行本として出版されたのは、
震災から1年の2012年3月。


中学受験の失敗から不登校になってしまった主人公の少年が
被災地を取材するライターと共に、被災地をめぐる旅に出る物語。

小説のかたちを借りてはいるが、
そこに描かれる被災地の出来事は、作者自身が被災地を訪ね、
そこで暮らす人々とつながり、聞き受けたまぎれもない事実だ。

「希望」と「絶望」は表裏一体にある。
前に向かって進む「希望」の隣には、
打ちひしがれた「絶望」がある。
それを絶対に忘れてはならない。

そう考えるライターは、
敢えて、少年に「絶望」を見せることはしない。
「希望」を見せることで、隣り合わせにある「絶望」を
創造し尽くすことを求める。

「夢は無意識のうちに持つものだけど、
希望は厳しい状況の中で苦しみながらも持つもの」

「電気も水道も止まって、食料のストックもほとんどない中で、
これからどうすればいいのか。
会社のことも今度、どうなってしまうのか。
でも、だいじょうぶだ。
こんな状況の中でも、きっと希望はあるはずで、
それを見つけるために、自分の心の耳をすましていようと思った」

被災した人々、被災地を支援する人々の声を聞き、
少年の心が少しずつ変わっていく。
被災地を訪ねることで、不登校を克服できたというような
陳腐な結末には決して至らない。
中学生というまったくもって無力な自身の存在そのものを受容し、
たとえ無力であってもできることとして、こう決意する。

「僕には(被災地を)忘れずにいることしかできないけど…
でも、それだけは絶対に守ります」

少年とライターがめぐる被災地、
宮古、山田、大槌、釜石、大船渡、陸前高田、
気仙沼、南三陸、女川、石巻、仙台、名取、亘理、山元、
南相馬、飯舘、いわき
は、私自身も、震災後に訪ねさせていただいた地であり、
頁を繰るごとに、そのときに観た光景が幾度もよみがえった。

まもなく、震災から4年目を迎えるこの2月のタイミングで、
この小説が文庫化された。(幻冬舎文庫)
文庫版には、巻頭に2011年、巻末に2014年の
被災地のグラビアが掲載されている。
そして、文庫版のあとがきには、作者の強い思いが記されている。

「震災はまだ続いている」と。

まもなく、4度目の3.11を迎えるいま、
本をすでに読まれた方は、再度、
まだ読まれていない方は、文庫化されたこの機会にぜひ、
読まれてみてはいかがでしょうか?

主人公の少年と同じ、
「忘れない」ということを再確認するために。

2015022201


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