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2015年2月

3.11を忘れない決意をいまいちど。


重松清の本。
「希望の地図 3.11から始まる物語」。

最初に、単行本として出版されたのは、
震災から1年の2012年3月。


中学受験の失敗から不登校になってしまった主人公の少年が
被災地を取材するライターと共に、被災地をめぐる旅に出る物語。

小説のかたちを借りてはいるが、
そこに描かれる被災地の出来事は、作者自身が被災地を訪ね、
そこで暮らす人々とつながり、聞き受けたまぎれもない事実だ。

「希望」と「絶望」は表裏一体にある。
前に向かって進む「希望」の隣には、
打ちひしがれた「絶望」がある。
それを絶対に忘れてはならない。

そう考えるライターは、
敢えて、少年に「絶望」を見せることはしない。
「希望」を見せることで、隣り合わせにある「絶望」を
創造し尽くすことを求める。

「夢は無意識のうちに持つものだけど、
希望は厳しい状況の中で苦しみながらも持つもの」

「電気も水道も止まって、食料のストックもほとんどない中で、
これからどうすればいいのか。
会社のことも今度、どうなってしまうのか。
でも、だいじょうぶだ。
こんな状況の中でも、きっと希望はあるはずで、
それを見つけるために、自分の心の耳をすましていようと思った」

被災した人々、被災地を支援する人々の声を聞き、
少年の心が少しずつ変わっていく。
被災地を訪ねることで、不登校を克服できたというような
陳腐な結末には決して至らない。
中学生というまったくもって無力な自身の存在そのものを受容し、
たとえ無力であってもできることとして、こう決意する。

「僕には(被災地を)忘れずにいることしかできないけど…
でも、それだけは絶対に守ります」

少年とライターがめぐる被災地、
宮古、山田、大槌、釜石、大船渡、陸前高田、
気仙沼、南三陸、女川、石巻、仙台、名取、亘理、山元、
南相馬、飯舘、いわき
は、私自身も、震災後に訪ねさせていただいた地であり、
頁を繰るごとに、そのときに観た光景が幾度もよみがえった。

まもなく、震災から4年目を迎えるこの2月のタイミングで、
この小説が文庫化された。(幻冬舎文庫)
文庫版には、巻頭に2011年、巻末に2014年の
被災地のグラビアが掲載されている。
そして、文庫版のあとがきには、作者の強い思いが記されている。

「震災はまだ続いている」と。

まもなく、4度目の3.11を迎えるいま、
本をすでに読まれた方は、再度、
まだ読まれていない方は、文庫化されたこの機会にぜひ、
読まれてみてはいかがでしょうか?

主人公の少年と同じ、
「忘れない」ということを再確認するために。

2015022201


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いまこそ、A型事業所の矜持を示さねば

「平成27年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(案)」が、
昨日(2月12日)、厚労省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームから
発表された。(詳細は下記サイトからご覧になれます)

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000073989.html

一般社団法人ディーセントワールドが、
スワン町田店でおこなっている就労継続支援A型は、...
「短時間利用者の状況を踏まえた評価の適正化」ということで、
利用者の利用時間の平均により、
平成27年10月から、次のような見直しがなされるとなっている。

事業所における雇用契約を締結している利用者の
利用時間の平均(1日当たり)が、

・1時間未満の場合 所定単位数の70%減額
・1時間以上2時間未満の場合 同60%減額
・2時間以上3時間未満の場合 同50%減額
・3時間以上4時間未満の場合 同25%減額
・4時間以上5時間未満の場合 同10%減額

一方で、就労継続支援B型は、
目標工賃達成加算(Ⅰ)が新設され、(69単位/日)
現行の目標工賃達成加算(Ⅰ)が(Ⅱ)になり、
49単位/日から59単位/日に増額
現行の目標工賃達成加算(Ⅱ)が(Ⅲ)になり、
22単位/日から32単位/日に増額され、
目標工賃達成指導員配置加算も
利用定員に応じて、それぞれ8単位増額となっている。

目標工賃達成に向けて、がんばっているB型を評価することに
異存はないが、
B型に比べて、あまりにもA型が冷遇されているように
感じざるを得ない。
(昨年、「悪しきA型事業所問題」が、
マスコミで取り沙汰された影響が大きいとも思える)

前掲したA型の減額、
あまりにも細かく、また、評価(見直し)の視点もズレていると思う。

雇用契約を結ぶA型においては、
利用時間でなく、実労働時間を尺度にすべきであると思う。
もちろん、そんなことをする気はないが、
悪意をもってすれば、
利用者に通所してもらい、30分働いた後に
4時間休憩をとってもらい、そのあと30分働いてもらうと、
利用時間は5時間に達してしまう。

したがって、評価見直しの視点として、
ふさわしいのは、
雇用保険をかけているか、
(雇用保険は週20時間以上の労働時間がないとかけられない)
社会保険をかけているか、
(社会保険は基本的な労働時間の3/4が原則)
減額特例を申請せずに地域最低賃金を支給しているか、
(減額特定を否定するものではない)
そういった「労働者性」の保証がきちんとできているかどうかを
見ていくべきではないかと思う。

B型に目標工賃達成加算をするのと同様に、
雇用保険や社会保険に加入している利用者の人数に応じて、
減額ではなく、むしろ、加算をしていくことをしなければ、
A型事業者のモチベーションは低下してしまう。

「悪しきA型事業所問題」を元々、マスコミに告発したのは、
障害者福祉関係者だと聞いている。
もちろん、そこで働く障害のある人を第1に思ってのことだろうが、
言葉悪く言えば、「ちくる」ようなやり方は、
どうも気に食わない。
自分たちの「既得権」を守り抜こうという浅ましさや、
自分たちこそが福祉の専門家といった驕りは、
まったくなかったと、本当に言えるだろうか?

そもそも、真面目に事業に取り組む気がない、金儲けだけが目的の
「悪しきA型」は、放っておけば、いずれ自然に淘汰される。
それよりも、自分たちのA型が本当に、そこで働く障害のある人たちにとって
幸せな場所になっているか、そうなるためには、どうしていけばよいかを
真剣に考え、自ら「良いA型モデル」をつくりあげていけばそれでいいと思う。

A型事業者にとっては、厳しい報酬改定案になったが、
ここで挫けていては、前には進めない。
与えられた条件の中で、どうやって最善を尽くすか、
A型事業所の矜持を示すために、いま、何をすべきか、
今日の経営会議の中で議論していきたい。

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いまいちど、「忘れ去らない」ことを胸に


2月8日、
岩手県・陸前高田市の市長選で
現職の戸羽太市長が見事、再選を果たした。

「コトノネ」創刊号の特集記事のインタビューのために、
仮設の市庁舎を訪問させていただいたのは、
震災の年の11月末。


復興の最前線で、職員をリードする立場にある戸羽さんは、
作業服姿で、お忙しい時間を割いて、
われわれのインタビューに真摯に対応してくださった。

「復興には長い年月がかかる。8年のビジョンで復興にとりくむ」
「被災地の願いは、被災地のことを忘れ去らないでほしいということ」
「ノーマライゼーションの言葉がいらないまちづくりをめざす」

絶望の底から、立ち上がり、
再生から共生をめざす力強い言葉の
一言、一言が心に強く残っている。

戸羽市長、再選、おめでとうございます。
まもなく、あの震災から4年になろうとするいま、
「忘れ去らない」決意を
今一度、新たにしなければならないと思います。

「コトノネ」創刊号の戸羽さんのインタビュー記事の全文が
下記の「コトノネ」のサイトでご覧いただけます。

http://kotonone.jp/latest/backnumber/pdf/vol01_rikuzen.pdf

「忘れ去らない」を実践する「コトノネ13号」も
まもなく発刊されます。
ぜひ、定期購読をお願いいたします。

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本やドラマからしごとのヒントを見つける

NHKの土曜ドラマ(土曜21時~)
「限界集落株式会社」。
http://www.nhk.or.jp/dodra/genkai/index.html

原作は、...
黒野伸一著の「限界集落株式会社」(小学館文庫)。

「限界集落」の定義は、
過疎化などで、人口の過半数を65歳以上の高齢者が占める地域。
あらゆる公共サービスが徐々に機能低下していくことで、
やがて人が暮らせなくなり、集落そのものが消滅してしまう危機にある。
今や、こうした「限界集落」が、日本全国で1万か所を超えるという。

ドラマ版と原作小説のストーリーは、ちょっと異なるが、
「限界集落」と呼ばれる地域をいかに活性化させ、
人々が安心して暮らせる地域に再生する
というコンセプトは変わらない。
タイトルにある「村の株式会社化」という手法を筆頭に、
地域や産業の活性化のためのアイデアが、
面白いし、自分たちの仕事にもとても参考になる。

昨日放送されたドラマ版の第2話でも、
有機栽培をするキャベツ畑に、小学生の遠足を誘致したり、
野菜の直売所で、キズ物野菜の量り売りをしたり
と、いった「アイデア」が披露されると、
テレビを一緒に観ていた配偶者が、
仕事と結び付けてか、いちいち真剣に頷いていました。

ドラマ版は、全5回。後3回で終了です。
ドラマとあわせて、原作小説もぜひ、お読みになってみてはいかがでしょうか?

昨日の記事の「読書手当」のレビュー。
こんな感じで、職員たちが書いてくれると、嬉しいのですが、
わかったかな?

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「読書手当」をはじめてみようか

フェイスブック(FB)をはじめて以来、
ほとんどブログを書かなくなってしまった。

気軽にちゃっと書けてしまうFBと比較すると、
ブログは、やはり少し面倒だ。

一方、FBは、どんどん更新されていくので、
あとで、「あの記事、もう一度読みたい」と思ったときに、
探し出すのが結構、大変。

備忘録的な意味で、
長めに書いてしまったFBの記事は、
ブログにも貼り付けておけばいいんだと、
いまさらながら、気付いた。

ということで、以下は、2月7日のFBの記事からの転載。

※※※

2014年の文化庁の調査によると、
日本人のふたりにひとり(47.5%)が、
1ヶ月に、1冊も本(マンガや雑誌を除く)を読まないという。

残念ながら、うちの法人でも...
職員(経営陣も含めて)が本を読んでいる姿や
本のことを話題にしている姿をまったくといっていいほど見かけない。

本好きからいわせれば、
・本は人生をゆたかにする。
・本はアイデアの玉手箱。
・本は想像力を鍛える。

そして、本を読んで得た感動は
みんなで分かち合いたい。

本(活字)離れが進むわが法人の危機、
もっと大袈裟にいえば、この日本の危機を救うために、
昨日の経営会議で、ひとつ提案をしたところ、
全員一致で承認され、次年度から実行することになった。

ディーセントワールドでは、
平成27年4月から、
ジャーン!
職員に「読書手当」を支給することにしました。

手当は、次の条件を満たした職員からの申請によるもの。

・申請者は、月1冊の本(原則的にマンガや雑誌は除く)を
自分で選び、購入し、読書後に本のレビュー(推薦文)を書く。
・本の購入費は、法人が研修費として、負担する。
その代り、読んだ本は、申請書、レビューと共に、法人に提出する。
・本の購入費は、原則として上限2000円。それ以上する本の時は
あらかじめ、相談する。
・提出された本は、スワン町田店内に「スワン文庫」を設け、
レビューを添えて置き、お客様に自由に読んでいただく。
(感動の分かち合い!)

これで、月額5000円の「読書手当」を支給。
(本当は、「図書委員手当」にしたかったんだけど…)

会議では、
「研修機会を均等にするため、『強制的に全職員に』」という
意見もありましたが、
職員の自己啓発と「楽しく」読書するという観点からこれは却下して、
あくまでも、自主的におこなうということになりました。
(最近よく聞く、「禁煙手当」と同じです)

個人的に、この「読書手当」を一番、申請してほしいのは、
障害のあるお子さんを抱えて、パートでスワン町田店で働いてくださっている
お母さん職員のみなさんたち。
きっと、一般職員たちとは違うものの見方、考え方で、
素晴らしいレビューを書き、素敵な本を紹介してくださることと
期待しています。

「読書手当」そして、「スワン文庫」のとりくみが、
ディセントワールドの「企業文化」として、育っていくことを
願っています。

うまくいけば、5月には、「スワン文庫」に
本が並び始めるでしょう。
職員たちが書いたレビューといっしょに、
めくるめく本の世界に触れてください。

https://www.facebook.com/takahiko.amano.7

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