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2011年6月

~しくみや組織を変えると考え方や行動が変わる~ ヤマト福祉財団の有富理事長のお話を伺い、感じたこと

 6月25日に京都府舞鶴市で開催された「パワーアップフォーラムinまいづる」(主催:公益財団法人ヤマト福祉財団 社会福祉法人まいづる福祉会)に参加してきました。

 私は、午後からのシンポジウム「障がいのある人たちの『働く』を考える」にシンポジストのひとりとしてお話をさせていただきました。

 午前中の「特別講演」の講師は、ヤマト福祉財団理事長の有富慶二氏。

 演題は、「稼げる作業所への道 ~しくみや組織を変えると考え方や行動が変わる~ 」でした。

 さすがに、ヤマト運輸・ヤマトホールディングスの代表取締役・会長を務められた日本を代表する実業家のおひとりだけあって、1時間の講演の中に、作業所のイノベーションを考えるためのヒントがぎっしり詰まっていました。

 「稼げる作業所への道」は、次のフローでイノベーションを図っていくこと。

①まず、変えなければならないのは、「しくみや組織」

②「しくみや組織」を変えることで、「働く職員の意識」が変わる

③「意識」が変わると、「行動」が変わる

④「意識や行動」が変わると、「結果」も変わる

 

 有富理事長のお話を伺って、ハッと、これまで自分が冒していた誤りに気がつきました。

 なかなか「結果」が出ないことに対して、それは、「職員の意識が低いから」あるいは「職員の意識が変わらないから」と責任転嫁していたことに気づかされました。

 職員の意識を変えていくためには、まず、職員の考え方を変える「しくみ」をつくっていかなければならないのです。そこのところがこれまで全く不十分でした。

  

 ヤマトが「宅急便」を成功させたしくみは次の3つです。

①顧客ニーズ(顕在化したニーズにとどまらず、潜在的なニーズも)を満足させる事業の創出

②新しい商品に適合した作業のしくみを構築(ユニットロード方式=荷物をバラ積みしないでカゴ車で運ぶ、ベース間運行システム、ハブ&スポークシステムなど)

③社員の考え方を変えるしくみの導入

  特に力を注いだのが、③の社員の考え方を変えるしくみづくりです。具体例として、顧客との約束を守るため翌日配達のレベルを可視化し、第一線を動かすしくみを変えたことをお話されていました。

 ヤマトの他にもパナソニックの国内流通改革や、三菱商事の4M戦略などの例を挙げ、しくみを変えない限り、意識や行動も変わらない。しくみを変えると考え方や行動が変わり、結果も変わるということを、経営に疎い私たちにもわかりやすく、噛み砕いてお話をしていただきました。

 「しくみ」を創造した作業所の事例として、京都府舞鶴市の「ほのぼの屋」、東京都武蔵野市の「チャレンジャー」、滋賀県大津市の「がんばカンパニー」を紹介されました。

 精神障害者の人たちが誇りをもって働くフレンチレストラン「ほのぼの屋」では、外食産業の基本原則である「QSC」が徹底されています。すなわち、Q=高品質では、一流シェフが腕をふるい、S=サービスでは、最適のタイミングで料理を提供すると同時に、過不足のない接客がなされ、C=クレンりネスでは、店舗や従業員の清潔感はもちろん、店舗の内外が徹底的に磨きこまれています。

 実際に、フォーラムの後、「ほのぼの屋」で開かれた交流会では、最高のQSCを実感させていただきました。

 「ほのぼの屋」が飲食店経営の基本原則を徹底しているのと同様に、「チャレンジャー」では請負業の基本原則を、「がんばカンパニー」では、食品製造業の基本原則をそれぞれ徹底していることが、確かな「結果」を生み出していることがわかりました。

 これらと比較すれば、ウィズ町田の各事業は、まだまだ大きく遅れています。

 自分たちの顧客は誰か。自分たちのなすべき使命は何か。自分たちが徹底すべき基本原則は何か。これらをしっかり見極め、目標を実現するために必要なしくみや組織づくりから、もう一度、しっかりと組み立て直さなければならないことがわかりました。

 フォーラムの後、有富理事長と懇談の機会を設けていたくことができました。そこで、私から、東日本大震災の被災地で、作業所の復興を目標にした「復興支援パワーアップフォーラム」を開催していただきたいというお願いをさせていただきましたところ、「ヤマト福祉財団としても、ぜひ、バックアップしたい」という有難いお返事をいただくことができました。(このことについては、また別の記事にします)

 今日の夜は、ウィズ町田の理事会です。

 「失敗を怖れず、まずはやってみることが必要」「そして、どうせやるなら、デファクトスタンダードをめざすこと。オンリーワンではなく、ナンバーワンをめざすことが大事である」と、最後に有富理事長がお話をされていました。

 小さな法人にとっては、無謀とも思える大きな目標に向かってチャレンジしていきたいと思います。まずは、「しくみと組織」を変えることから、イノベーションにとりくんでいきたいと考えます。

(天野)

 

 

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自分の役割と責任を理解した時、若者(田代選手)は大きく成長する。

 野津田に、AC長野パルセイロを迎えてのホームゲーム。

 久しぶりに、アウェーゴール裏(正確には、バックスタンド寄り)に、相手サポーターの集団が対峙して、否が応にも、ホームゴール裏も盛り上がります。パルセイロサポのオレンジのユニフォームは膨張色が幸いしてか、実際の数の倍くらい入っているように見えます。300~400名くらいの方に、お越しいただけたでしょうか。遠路はるばる町田まで観戦に来ていただいたパルセイロサポーターの皆さんにお礼申し上げます。

 ゲームの方は、前半、先制するも、PKで追いつかれ、後半、突き放すも、またPKで追いつかれの、なんだかちょっとやりきれないゲーム。露骨なホームアドバンテージのゲームを見るのも嫌ですが、2回もアウェーのチームにPKで追いつかれるようなゲームは、生まれてこの方、初めて見ました。こんな稀有な体験をさせてもらったということに関しては、今日のレフリーには感謝です。(もちろん大いなる皮肉ですが)

 流れの中から生まれたゼルビアの2得点はどちらも素晴らしかった。

 前半10分のディミッチ選手の得点。遠いホームゴール裏からも、相手DFを交わし、ゴール右隅に決まるまでのシュートの軌道がはっきり見えたビューティフルシュート。

 後半20分の鈴木選手の右サイドからのシュートは、相手GKの必死のセービングを弾いて、ゴール右隅に突き刺さった。前節のHONDA戦のグランダーのシュートと軌道こそ違えど、あの位置からのシュートは百発百中の精度。

 2つ目のPKは、遠くて何が何だかよく分からなかったけど、1つ目のPKは、目の前の出来事だっただけに、まったく解せません。相手選手のシュートチャンスを阻止すべく、味方右サイドから中央へ、そして左サイドへと田代選手が、巧みに追い込んでいく中で、相手選手が勝手に躓いて、倒れたプレイに対するPKの判定。相手選手が意図的でないにせよ、あれは通常は、相手選手のシミュレーション(審判を欺こうとるする行為)を取って然るべきプレイ。

 ゲーム後、ゴール裏に来た選手たちに、サポーターからは、いつも以上の拍手と「顔を上げろ!」の声が飛んでいました。

 長いシーズンの中で、そして、JFLという発展途上のリーグで戦う中では、今日のようなゲーム(主審の笛)を、まだまだこれから何度も経験するに違いありません。おかしな判定に対しても、執拗に抗議するのではなく、スパッと気持ちを切り替えた田代選手の姿勢に大きな成長を感じました。(元マリノスサポですから) 自分の役割と責任を実感できた時、そして、その役割や責任を全うできたとき、若者は自信を持ち、大きく変貌します。

 今日の引き分けで、JFL枠での天皇杯出場は、ほぼ絶望になりましたが、それはそれで気持ちを切り替えていきましょう。「ピンチはチャンス」。大学チームやJFLの好敵手の横河武蔵野を倒して、東京都代表の栄誉をつかむことで、経験値もグ~ンとアップするはずです。

 次節のSAGAWA戦。仕事で、すぐ近くの京都(と言っても日本海側ですが)に居るのに、観戦に行けないのが残念ですが、気持ちはひとつにして、勝利をめざしたいと思います。

 新加盟の長野。ゼルビアと同じように、華麗なパスサッカーをめざすチーム。後半、足が止まるかなと思っていましたが、最後まで走りきったスピリットに、好印象を持ちました。新たな好敵手の出現です。

(天野)

 

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大きな空の下で、無心にボールを追いかける喜びを被災地で暮らす子供たちに取り戻してあげたいと願う

 今度の日曜日もゼルビアのホームゲームが野津田で開催されます。震災が起き、予定されていた開幕が1ヶ月以上も延びて、「今か今か」と開幕を心待ちにしていた頃を思い出すと、2週も続けて、ゼルビアのゲームを観戦できることを本当に嬉しく思います。

 16日の対戦相手は、今季からJFLに昇格したAC長野パルセイロ。「パルセイロ」とは、ポルトガル語で「パートナー」を差すそうです。地域や市民との共同や連携をめざすという意味で、ゼルビアと志を同じくするチーム。青よりももっと澄み切った「蒼」をチームカラーにするゼルビアと、太陽のオレンジをチームカラーにする長野との対戦とあっては、不安だった梅雨時のお天気の方も持ち直さざるを得なかったようで、なんだか晴れ間も期待できそうです。

 昨年も新規昇格チームには滅法強かったゼルビア(金沢、栃木、松本にホーム、アウェーともに全勝!)。ここは先輩の貫録を見せつけて、何としても圧勝してほしいものです。

 こうして、大きな空の下で大好きなサッカーを観戦できることを本当に嬉しく思う一方で、原発事故による放射線の影響で、故郷を離れたり、屋外で遊ぶことができない福島県の被災地に住む子供たちのことを考えると、ギュッと心が締め付けられます。

 先日、震災以来、何度も、福島県の南相馬市の障害者施設の復興支援に入っている知人からも、子供たちが、友だちと離れ離れになってしまったり、外で遊べなくなってしまったりして、とても辛い状況に置かれているという話を聞きました。実際にどんな様子か知りたくなって、インターネットでいくつかのサイトを閲覧しているうちに、涙がこぼれてきました。

 

 南相馬市の「大甕サッカースポーツ少年団」のサイト↓

http://www.geocities.jp/fantastic_kids/

 を開くと、「当面の活動休止と、再会を期待している」というテロップが流れています。

 富岡町の「FC富岡ガンバローズ」のブログ↓

http://get-a-dream-tomioka.de-blog.jp/blog/

 では、「Get aDream またいつか富岡でサッカーを!!」というスローガンと共に、指導者の方からの、こんな書き込みがありました。

2011/04/25

俺のお前らへ

みんな元気してるか?

みんなばらばらになってるけど,絶対どこに行っても頑張れよ!!

サッカー続けろよ!!つらいこともあるかもしれないけど,

辛いのは今だけだから,くよくよ悩むなよ

悩んでる暇があったら,前に進め!!

俺も頑張るから,お前らもがんばれよ!!

みんなが集まれるようになったら,必ずみんな呼んで富岡でサッカーやるからな

それまで技術磨けよ!!サボっていたら総グラ走らせるからな!!

ガンバろーぜ!!

みんなでがんばって乗り切ろうぜ!!がんばろうぜ!!

勉強もなっ!!!!!!!!!!!!!

 浪江町の「浪江町サッカースポーツ少年団」のサイト↓

http://www11.ocn.ne.jp/~namiesss/index.html

 は、震災の後、止ったまま更新されていません。

 

 梅雨が明けると、普通であれば、子供たちが何よりも楽しみにしている夏休みがやってきます。

 でも、原発問題に終息の兆しがまったく見えない、福島県の子供たちにとっては、仲の良い友だちにも会えない、思いっきり、外で遊ぶこともできないまま、ひたすら退屈な時間を過ごさざるを得ない辛く長い夏休みになってしまうかもしれません。

 先日の「被災地の子供たちに絵本を届けよう!」という酒井良選手の呼びかけには、たくさんの人たち(ゼルビアを応援する人だけでなく、相手チームのサポーターの方や、ゼルビアやサッカーについてあまり知らない人たちまで)が応え、短期間で1500冊もの絵本が集まったといいます。

 みんなが、被災地で暮らす人たちのために、何かほんの少しでも、「自分にできることをお手伝いしたい」と、考えている時だからこそ、まだまだ私たちにできることがたくさんあるような気がします。

 たとえば、被災地の子供たちが、仲の良い友だちと久しぶりに再会し、思いっきり、広い空の下で、仲間とボールを蹴ったり、追いかけたりすることができるような機会をつくりだす。…そんなふうに、本来の素敵な夏休みを取り戻すためのアクションを何かしら起こすことができないかなと考えます。

 ゲームの後の「ふれあいサッカー」に象徴されるように、ゼルビアの一番の魅力は、未来を担う子供たちを、みんなで大切に育てていこうという思いです。大きな空の下で、無心になってボールを追いかける喜びは、何物にも代えられないものです。

 それは、町田の子供たちにとっても、福島の子供たちにとっても、同じです。

 ゼルビアを応援するのと同じ気持ちで、被災地の子供たちを応援していくことができればと思います。何か良いアイデアはないでしょうか?

(天野)

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「NPO法人読み聞かせ文庫」さんのホームページに「酒井プロジェクト」の報告記事が掲載されました

 「NPO法人読み聞かせ文庫」さんのホームページ↓に

 http://yomikikasebunko.jp/index.html

 福島県の相馬市図書館に絵本を届けた「酒井プロジェクト」の報告記事がアップされました。

 酒井選手の呼びかけで集まった絵本は、なんと1500冊。片道8時間かけて、車で絵本を相馬市まで、運んでくださったスタッフの皆様、本当におつかれさまでした。

 届いた絵本を手にした子供たちの笑顔がステキです。「どんなお話なんだろう?」「早く読んでみたいな」と、胸をワクワク、ドキドキさせている気持ちが写真からも伝わってきます。

 図書館に絵本を届けた後、相当にお疲れであったはずなのに、スタッフの皆さんは、その足で、南相馬市にある障害者施設「あさがお」さんを訪問してくださっています。

 「あさがお」さんの訪問記も、写真入りで報告されています。

 震災から3カ月経った今も、被災地の状況には大きな進展はありません。引き続き、厳しい状況が続いています。このまま忘れ去られてしまうようなことにならないかとても心配です。

 こうして、障害者福祉の分野を越えたホームページやブログで紹介していただくことで、よりたくさんの人に現状を知っていただけることをとてもありがたく思います。

 本当の復興までには、まだまだ長い時間と、たくさんの支援が必要です。

 読み聞かせ文庫さんでも、今回1回限りのとりくみではなく、今後も継続したとりくみを検討されているようです。私たちも同様に息の長い支援を続けていきたいと思います。

 今回の絵本搬送用の車両として、「読み聞かせ文庫」さんに、ウィズ町田の「なないろ」の車両を貸し出させていただきました。その時の嬉しいエピソードを紹介します。

 利用者送迎から戻ってきた車両を、数名の職員が、きれいに洗車してくれました。「被災地の子供たちに、たくさんの人の善意で寄せられた絵本を運ぶ車」だから、ピカピカに磨きあげたかったということです。温かい気持ちを示してくれる職員がいることを、理事長としてとても嬉しく思いました。

 また、ウィズ町田のスワン町田店、とうふ菜園玉川学園前店のお店に絵本をお持ちになってくださった皆様に心よりお礼申し上げます。

(天野)

 

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「慣れが生じて……」とならないように、「KYT」を心がけ定着支援を進めていきたい

 「らいむ」の登録者の中で、町田市内の事業所で勤務されている方はあまり多くありません。法定雇用率の対象になる企業数が少ないことも理由のひとつとして挙げられます。

 精神障害のあるOさんは、そんな中にあって、市内のS社で5年4ヶ月間勤務されており、「らいむ」の登録者の中でも長く職場定着されている方のおひとりです。これまで、まったく何事もなくスムーズに、就労を継続されてきたわけではありませんが、「(この職場でずっと)働きつづけたい」という強い気持ちが、Oさんの就労を支えています。

 Oさんは、ウィズ町田の「なないろ」配食サービス班の前身の「Cスクエアあじさい」の通所を経て、S社に就職されました。作業所の時代から、誰に対しても丁寧な言葉でお話しされ、指示もきちんと理解し、どんな仕事に対しても真面目にとりくむ方でした。就職してからもその姿勢は変わることなく、職場からも高い評価を受けています。

 Oさんが働くS社では、Oさん以外にも数人の障害のある方が勤務されています。食品製造の工場内での作業になりますが、お一人お一人のニーズや障害特性にあわせて、現場の環境を整え、雇用してくださっています。

 先日、Oさんが「らいむ」に相談にみえました。「仕事量が増えて、からだがキツイ」「勤務時間を減らしたい」という相談でした。早速、職場に連絡を取らせていただき、担当課長さんと、Oさんを交えて、話をする時間を設けていただきました。

 「片付けても片付けても仕事が終わらない」というOさんの訴えに真剣に耳を傾けてくださった課長さんからは、Oさんが長く勤務していることで、周囲の従業員の人たちも慣れてしまって、Oさんの立場に立って十分に考えることのないまま、Oさんに仕事を振ったり、任せきりになってしまっていたことを反省点として挙げてくださいました。

 そのうえで、今ではOさんの存在が職場で欠かすことのできないものになり、安心して仕事を任せられる存在になったことを伝えてくださいました。

 思いがけない励ましと評価の言葉をいただいたOさんは、嬉しそうな表情で、「仕事に対する責任感が高まりました」「ありがとうございました。明日からはまた気持ちを切り替えてがんばります」と応えられていました。スッキリした表情で話すOさんから、支援者としてまたひとつ「励み」をいただきました。

 その日の終礼では、職員全体で次のことを確認しました。

 「長く定着できているから安心」とは簡単には言えない。慣れが生じてしまうことで、新鮮な気持ちをなくしてしまったり、配慮を欠いてしまう危険性が高まることもある。定着支援は、働いている年数に関係なく、慣れが生じて困ったことになってしまう前に、日々変化していくご本人や職場の状況やニーズを正しく読み取り、うまく調整を図っていくことが大切な目的である。

 S社では、全従業員を対象に、「KYT」=「危険を読み取るトレーニング」を実施されているというお話をうかがいました。定着支援にも「KYT」のスキルが不可欠であることを学ばせていただきました。

 これからもOさんをはじめ、企業で働く障害のある人たちを、しっかりと支えていくために全力を尽くしていきたいと思います。

(センター長 竹内 広美) 

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戦国JFLを勝ち抜くキーワードは、「チャレンジャー精神」

 後半45分終了間際に掲示されたアディショナルタイムは4分。

 それまでにもずいぶん、HONDAよりの笛が吹かれていたので、もう驚くこともない。サポーターにできることはひとつ。ゼルビアの勝利を信じて、最後まで声を上げ続けること。ゴール裏がそしてスタンドが見事にひとつになった。

 昨年、一度も勝てなかった強豪HONDAを相手に、1対0の勝利。

 2009年のアウェー都田でHONDAに3対0で勝った試合、2010年の天皇杯2回戦で東京ヴェルディに1対0で勝った試合を思い出した。

 共通するキーワードは、「チャレンジャー精神」。

 開幕前から、なぜか、今季JFLの優勝候補に挙げられてしまったゼルビア。知らず知らずのうちに、そんな下馬評に惑わされて、勘違いして、「受けて立つ」気持ちにさせられていたのかもしれない。

 その最たるゲームが、アウェーの松本戦。試合前の松本サポーターのブログを見ても、「町田には勝てない」というあきらめムードが多勢を占めていた。しかし、蓋を空けてみれば、開き直った松本の選手たちの気迫に圧倒されての完敗。ホーム佐川印刷戦で持ち直したかと思われたのも束の間。前節、長崎戦での大敗。

 選手たち以上に、我々サポーターにも「過信」があったのかもしれない。草津戦、琉球戦と続いた大量得点で、「俺たちは強いんだ」という共同幻想の罠に囚われ、いつしか、一番大切なチャレンジヤー精神を失いかけてしまっていた。

 試合日程に恵まれたと思う。いまいち調子が上がらないとは言え、ゼルビアにとってHONDAは、紛れもなく「格上」の相手。加えて、エースとキャプテンを欠く中、今のゼルビアにできることは、「格上」相手に胸を借りるつもりで、全力で走りきることしかない。

 もうこれ以上、後がない状況を打開するために取ったポポヴィッチ監督がこの日、用意した、GK修行選手、CB太田選手の布陣は、ゼルビアに忘れかけていた「チャレンジャー精神」を取り戻させてくれた。危なっかしいという批判もあるが、修行選手の前に前に飛び出す守りは、選手たちをそしてサポーターを勇気づけてくれる。常に吠えまくる太田選手の気迫は、選手全員に、そしてサポーターに乗り移る。

 「チャレンジャー精神」こそが功を奏しているのは、今のJ1の順位を見ても一目瞭然。J2から這い上がってきた柏が首位。震災をばねに不敗神話を継続中の仙台が3位。優勝候補のもたつきを尻目に「格下」チームが上位を占めている。

 昨年の天皇杯ヴェルディ戦。Jリーグ昇格の夢が断たれた直後のゲーム。誰が考えてもモチベーションの低下は否めない中で、選手とサポーターが一丸となって勝利した伝説のゲーム。あの時、みんなを支えたのは、「俺たちはどんな逆境にも負けない!」「今に見ていろ!」という熱い気持ちとチャレンジャー精神(チャレンジ魂)だ。

 4分間のアディショナルタイムの間に、もう1点取れそうな予感を感じた人がたくさんいるくらいの、最後まで集中を切らさないナイスゲームだったと思う。そして、「もう1点」取れなかったことが、却って良かったと思う。なぜなら、「もう1点」「もう1勝」が次のチャレンジャー精神を生み出す力になるから。

 前半を終了して、控えの選手たちがハーフタームのアップにピッチに向かう。引き上げてくる修行選手の肩をたたき、吉田選手が二言三言、言葉を交わす。

 後半のアディショナルタイムになって投入された酒井選手。出場時間はわずか1分。でも、その1分間のために、出場までの90分間、いつ声がかかってもいいように、黙々とアップを続けている。

 そんな22番や11番のくさらない、ひたむきな姿勢が、大好きだ。

 今日、HONDAに1対0で勝ったことは自信にしても良い。でも、そのことを決して過信してはいけない。次節対戦する長野は、今季JFLに参入したばかりとは言え、前節までは、ゼルビアよりも上の順位にいた。ゼルビアが(たまたま)一蹴した琉球が首位。飯塚選手が移籍後初得点を決めた長野と同様、今季参入の讃岐が2位。と、「チャレンジャー精神」を以って、リーグ戦に臨んでいるチームが上位を占めている。

 常に相手をリスペクトして、常にチャレンジャー精神を以って、常に全力で試合に臨むこと以外に「戦国JFL」を勝ち抜く手段はない。

 ゼルビアが、そんな意識を持って闘うチームに成熟した時、本物の王者に一歩近づくのだと思う。道はまだまだ遠く長い。でも、その道を歩み続けることが何よりも大事だ。

(天野)

 

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震災から3カ月。今日からが復興に向けての新たなスタート

 3月11日の震災発生から3カ月経った。

 今日の「河北新報」の朝刊コラム「河北春秋」に、民族研究家の結城登美雄さんの言葉が紹介されていた。

 「復興とは、『ここは本当はいい所』と思う人々の心の物差しを中心に据え、もう一度暮らしの場所を取り戻す共同作業を言うのではないか」

 ウィズ町田では、震災直後に、4月開所予定のケアホームの1ユニット5室を被災した障害のある人やご家族に避難先として、使っていただくことを目的に、提供させていただくことを決定したが、今日現在、入居されている方はいない。

 4月に石巻市に支援に入った職員が報告していた。町は津波で運ばれたヘドロや倉庫から流出した魚介類の腐臭で覆われ、水道などのライフラインもまだ十分に復旧していない。それでも、「この町を離れたくない」という人がほとんどだ。

 ケアホームを避難所として提供するという考え方は、「どんなに厳しく、苦しい状況にあっても、やはり自分が生まれ育った町や村が一番であり、そこから自分だけ逃げだすことはできない。」という、被災地の人たちの気持ちに、本当の意味で寄り添うものではない、安易で、浅はかなものであったと自省している。

 すでに、5月10日の法人内の会議で方針を決定した通り、ケアホームを避難所として提供するという方針は、本日をもって解除することにした。これから先は、結城氏の言う、共同作業としての「復興」に、真摯に力を注いでいきたいと思う。

 震災から3カ月経った今日からが、復興に向けての本当のスタートだと思う。

 被災地で暮らす人たちが、「ここは本当はいい所」と思えるためには、ライフラインの復旧や瓦礫の撤去だけにとどまらず、産業や暮らしそのものが再生されなければならない。

 馬鹿げた政局を繰り返す政治家をあてにしていても、おそらく何も変わらない。

 もちろん、一人の力でできることなどたかが限られている。だからこそ、「共同作業」を呼びかけていかねばならない。

 「太く息の長い支援」を呼びかけてきた自分なりに、これから先、3ヶ月間の目標を立ててみた。

 これから先、3か月の間に、被災地の障害者施設の就労支援事業(授産事業)を復興させるための、様々なとりくみをしていきたい。

 自分ひとりの力では絶対に実現不可能なことも、志を同じにするたくさんの人の力や知恵を借りることで、実現する可能性が見えてくる。

 仙台市在住の作家、伊坂幸太郎氏のデビュー小説『オーデユボンの祈り』では、「この島には、大切なものが最初から欠けている」という言い伝えが、物語の伏線になっている。

 東日本大震災は、甚大な被害をもたらした一方で、「この国で、失いかけていた大切なもの」を取り戻すきっかけを与えてくれた。震災で亡くなった多くの人たちのためにも、自分たちは、その大切なものを守り育て、未来に引き継いでいかねばならない。

 伊坂幸太郎氏の小説の「大切なもの」は、これから小説を読む人のために触れないが、震災が思い起こさせてくれた大切なものは、紛れもなく人と人との「絆」であると思う。

 今日から、また、気持ちも新たに、「絆」を大切にした「太く息の長い支援」にとりくんでいきたいと思う。

(天野)

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震災から間もなく3ヶ月経とうとしているが、まだまだ太く息の長い復興支援が必要だ

 昨日(6月8日)の河北新報の特集記事で、JDF(日本障害フォーラム)「みやぎ支援センター」のとりくみが紹介されました。

 センターの立ち上げに関わり、この間も何度も宮城入りしている、赤い屋根の小野施設長がインタビューに応えています。 

http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1075/20110608_01.htm

 6月4日には、同じ障害者分野で連携する「被災者障がい者センターみやぎ」の及川代表の記事があります。

http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1075/20110604_01.htm

 震災から間もなく3ヶ月が経とうとしていますが、被災地で暮らす障害のある人たちや作業所などの施設の状況は、引き続き、厳しく、真の復旧・復興までには、まだまだ時間も人手もお金もかかることは明らかです。

 及川さんも、小野さんも共通して話していますが、民間レベルでのきめ細かい支援が続けられている一方で、国の動きは遅々として進みません。

 原発の問題も、義援金の問題も皆、同じです。被災地の人たちが何を望んでいるかしっかりと聞き、被災地の人たちが一番喜んでくれることをやればいい。「相手の立場に立って、相手が喜んでくれることをやる」 そんな単純明快なことすら理解できない。言い訳ばかりでまったく動かない。まったく情けないばかりです。

 自分の時間を使い、手弁当で被災地に行き、がんばってくれている人たちに、「ありがとう」と「おつかれさま」の言葉をかけると同時に、被災地に行くことができない私たちも、また自分の暮らす町に居ながらにしてできる復興支援にしっかりと、取り組んでいきたいと思います。

 先日、「町田市観光コンベンション協会」さんから、「8月6日に開催するイベントで、東北支援の物産展を出店しないか」というお誘いをいただきました。喜んで、お受けさせていただくことにしました。4月30日の物産展で播いた種がひとつ芽を出したと考えると、本当に嬉しいことです。

 その他にもいくつか並行して考えているイベントや企画があります。

 ずっと言い続けてきている、町田に居ながらにしてできる復興支援、太く息の長い復興支援、そして、相手の立場に立って、相手に喜んでもらえる支援を続けていくことが自分の役割だと思います。

(天野) 

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