「安居楽業ゼミナール」のシンポジウムに参加してきました
横浜の神奈川県民ホールで開催された「きょうされん 安居楽業ゼミナール」のシンポジウムに出席してきました。
「安居楽業(あんきょ・らくぎょう)」という言葉、恥ずかしながら初めて耳にしました。
「居に安(やす)んじ、業(ぎょう)を楽しむ」とも読み、世が治まり生活が安定し、みんながそれぞれの仕事に励んでいる状態のことを指すそうです。
このゼミナールでは、障害のある人たちの「安居楽業」のあり方を、働く・暮らす・支えるの3つの視点から深めていくということで、今回の横浜はその第1回として、「は・た・ら・く」をテーマに開催されました。
シンポジウムは、直言シンポ「働くこと、生きること…もう一度考えてみよう」というテーマでおこなわれ、コーディネーターには、きょうされんの斎藤なを子副理事長、シンポジストに埼玉県やどかりの里常務理事の増田一世さん、武蔵野市チャレンジャー施設長の新堂薫さん、そして、私という構成でした。
日ごろからパワフルな実践・活動を展開されている聡明な女性3人に囲まれて、緊張しましたが、自分的には結構、気持ち良く話をすることができました。
①それぞれの労働実践の内容と到達点を紹介し、取り組みのなかで確かめられてきた働くことの意味、働くことを通して創り出されてきた価値を深める。
②障害のある人たちの働く権利を実質化あっせていくための政策面と実践面の課題と展望を現場実践から探っていく。
というのが、シンポジウムのねらいでしたが、まぁ、半分くらいはご期待に応えられたかなと思います。
障害者自立支援法の柱として、福祉的就労から一般就労への移行が声高に叫ばれる一方で、福祉の施策と雇用の施策とがぶっつりと分断されているのが現状です。こうした二分的な施策モデルに対して、きょうされんでは、福祉の施策と雇用の施策がより密接に有機的な連携がなされるための施策モデルとして、「対角線モデル」という方向性を示しました。(詳しくは、下記きょうされんのHPから、昨年12月に発表した『就労・日中活動の体系についての見解』をご覧になってください)
きょうされんホームページ
この「対角線モデル」は、「障害のある人の多様な働き方を認めている」モデルであること、また、「どんなに障害の重い人であっても、(一般)就労できる可能性を秘めていることを証明する」モデルであるという点で、素晴らしい提案であると思っています。
しかし、どんなに素晴らしい提案であっても、それをかたちにしていくための実践や運動を進めていかねばなりません。そもそも自立支援法の出発点は、厚労省が財源問題を理由に、強引に介護保険制度との統合を進めようとしたことです。介護保険事業に民間企業の参入を許したのと同様に、自立支援法の新体系事業にも企業の参入を許しました。
もちろん真面目に社会貢献を考える企業もたくさんある一方で、中には、これを機に福祉をくいものにしようと企む悪い企業もあります。介護保険でもやはりそのような企業の姿勢が大きな社会問題になりました。障害者福祉の分野で同じようなことが起きなければいいなと案じていた矢先に起こったのが、先日、ブログで取り上げた町田市内の就労移行支援事業所の事業休止です。
町田の恥になることを承知のうえで、それでも、私たち福祉の職員はしっかりと批判的な目を持ち、同じような過ちを繰り返してはいけないという思いを込めて、今回の「事件」についても、壇上から話をさせていただきました。参加者の皆さんにとっても、相当にインパクトのある話だったようで、「信じられない!」「許せない!」といった表情の方がたくさんいらっしゃいました。
シンポジウムは正直、苦手です。他のシンポジストの話やフロアーの反応を聞いたり、見たりしながら、臨機応変に話を組み立てていくのは疲れます。考え方の異なる団体の研修会などに呼ばれていくと、まさに他流試合といった感じで、袋叩きにあうような場面もしばしば訪れます。でも、う本当にまくシンクロしたときは、やっぱり気持ちがいいものです。今日は、皆さんのおかげで、とっても気持ちよく帰ってこられました。
シンポの後、町田にトンボ帰りして、登録者のKくんといっしょにメール便を配達しました。今日で3回目の配達でしたが、少しずつ、自信もついてきた様子で、表情がすっかり明るくなり、前は何も話をしてくれなかったのに、話もしてくれるようになりました。
配達の後、ふたりでスワンでパンとお茶をしました。
「仕事をするとお腹が空くでしょう?」と声をかけると、にっこりとうなづき、パンを頬張るKくん。
「来週も午後から出張があるので、毎回、時間変更ばかりで申し訳ないけれど、次週は午前中から来てくれる」「次回は、ひとりで配達することにも挑戦してみようか?」という声かけにも同じくにっこり笑顔でうなづいてくれたKくん。
帰り際に、「来週は10時ですよね」と自分から確認して帰っていったKくん。
就労への道はまだまだ遠く険しいかもしれませんが、ひとりの青年の中で何かが変わり始めている、何かが動き出そうとしていることをとっても嬉しく思います。
(天野)
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