1年を2期に分けて、より効果的な支援が実施できるようにするため、第1期のらいむの新規利用登録者受付は、6月末で休止させていただく予定です。
今日は、午後から真夏のような太陽が照りつける中、Kくんといっしょにメール便の配達に出かけました。
昨年秋に、旧らいむに登録したKくん。専門学校を卒業した後、いわゆる「ひきこもり」生活を3~4年続けています。天野の旧い知人の紹介で、2週間に1回、らいむに来所することになりましたが、対人関係が苦手で、こちらがいくら話しかけても、殆ど応えてくれません。まずは、らいむの場所に慣れてもらうことを目的に、話さなくてもできるコミュニケーションということで、彼の好きな将棋を指すことからはじめました。
お父様が町田市内にお勤めですが、Kくんの住まいはお隣の県のY市。Y市には、らいむのような機関がないということで、あちらこちらに相談したところ、天野の知人から、らいむの紹介を受け、「最後の頼みの綱」といった心境で、まずお母様が相談に見えたのが利用のきっかけです。
ところが、年度末からのゴタゴタの中で、他市在住ということで、町田の情報にも疎く、行政から届いた調査書の意味も分からないまま、3ヶ月間の空白期間が生じてしまいました。本当は、こちらから連絡を取ればよかったのかもしれませんが、個人データの基礎情報を市にお返ししたこともあり、道義上、連絡を取ることが難しい状況にありました。
先月、お母様から連絡をいただき、3ヶ月ぶりの面談を持ち、新しいらいむにも登録していただくことになりました。とは言え、「3ヶ月間もほりっ放しにされたこと」で、彼の気持ちとしては釈然といかないのが当たり前で、終始、固い表情を崩さず、こちらの問いかけにも応じてくれません。本人の気持ちを踏みにじるような事態になってしまったことを詫び、「天野が勝手に話すから、よかったら聞いてね」と前置きした後、「今までと同じように、将棋やオセロをやるのもいいけれど、メール便の仕事に挑戦してみない?」と、誘いかけてみました。最終的には、本人が二者択一するかたちで、「メール便をやってみたい」という意志が示されました。
そして、今日。約束の時間通りにKくんがやってきました。
携帯端末を使った配達完了入力の操作を教えた後、ふたりで配達に出ました。天野が先導するかたちで、Kくんには配達ルートを記入した地図をもってもらって、現在地やランドマーク、ポストの位置、メール便の投函法などを、その都度、確認してもらいながら、配達していきました。対人接触のストレスもなく、自分にもできそうな仕事ということが分かったせいか、配達を続けるうちにKくんの表情は段々、明るく、意欲的なものに変わってきました。
1回目は40分、2回目は1時間弱で配達を終了。配達後、スワンのお店で飲んだアイスコーヒーは、喉の渇きと充実感とが混ざり合って、Kくんにとっても、格別の味だったようです。
「来週も来る?」という問いかけに、今日1日で赤く日焼けした顔に、にっこりと笑みを浮かべてうなづいたKくんを、「みんな待っているよ!」と、らいむの職員全員で見送りました。就職までには、まだまだ長い時間がかかるかもしれませんが、「変わらなくちゃいけない」という思いで、勇気をふりしぼって、らいむにやってきたKくん。小さな小さな一歩かもしれませんが、「最初の一歩」を踏み出したKくんを、らいむの職員全員で、精一杯、応援していってあげたいと思います。
らいむの登録者が、今、面談の予約をお受けしている方で、100名を超えました。らいむの事業適正規模は200名ということを以前のブログにも書きましたが、この間の「らっきょうプロジェクト」の動きを始め、大きな事案をいくつも抱えている中で、新規登録者の方をすぐにお受けすることが難しい状況になってしまっています。
とても言葉は悪いですが、現在の登録者の方の事案を「まず片付けて」から、「落ち着いて支援のできる状況をつくって」、新規利用希望者の方とじっくり向き合わせていただきたいと考えています。そのため、大変、申しわけありませんが、7月1日から、9月30日までの3ヶ月間は、原則的に新規利用予約を休止させていただきたいと考えておりますので、何卒、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
また、今年度「第2期」の新規利用者の募集期間は、10月1日~12月末日までと考えております。こうして、1年を2期に分けることで、より効果的な支援をおこない、ひとりでも多くの方の一般就労への夢を叶えるお手伝いができればと思います。
今年度(09年度)の一般就労目標数を20名といったこともこのブログに書きましたが、一般就労に限らず、登録者の方の夢や希望を100%叶えていくことを、目標にがんばっていきたいと思います。(「一般就労に限らず」と書くと、目標を下方修正するのかと勘違いする方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。一般就労については、6月末ですでに11名に達しているので、年間目標数は30名に上方修正させていただきます)
(天野)
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コメント
はじめまして。
M市に近接するY市にすむ発達障害児の母です。
Y市には2区に1つ障害者就労支援センターがありますが、らいむさんとは全く違う性格のものなのでしょうか?
表向きは「知的・精神障害」を対象としていますが、手帳とれない「発達障害」のかたも相談できるようです。(区役所で確認済み)
違いを教えていただけると助かります。
投稿: Y市の母 | 2009年6月26日 (金) 23時48分
コメントありがとうございます。
記事のKくんのお住まいのY市は、政令市ではない小さなY市です。
政令市のY市は、もともと就労支援にも熱心な市なので、市で実施されている障害者就労支援センターを安心してご利用できると思います。
発達障害の方への支援も、K県は、政令市のY市、K市も加え、非常に配慮が行き届いていると感じています。
K県、Y市、K市では、広汎性発達障害の診断があれば、IQ90までは、滞りなく療育手帳を発行していただけると聞いています。東京は、この辺りが遅れていて、IQ75を超えると療育手帳(愛の手帳)を発行してもらえず、手帳が必要なる戸、精神障害者保健福祉手帳を取得しなければなりません。
ただでさえ、発達障害に対する理解が浅い世の中にあっては、不用な混乱を招くばかりです。障害年金もK県に比べると、受給はかなり厳しいものになっています。
一方、雇用の方では、K県は、結構、簡単に減額特例(旧・最低賃金除外)申請を受け付ける傾向にあるということも聞いています。
そういう面では、K県に住んで、東京の職場に通勤するというのが一番よいのかもしれませんね。
簡単ですが、ご回答です。
投稿: 天野 | 2009年6月29日 (月) 16時02分
ご丁寧なお返事ありがとうございました。
まだ、学齢期の子どもですが、親の会等での感じてきたことそのもののお返事で安心いたしました。
Y市は障害に対し教育の面での「インクルージョン」の理念、理解の進んだ自治体ですが、決まった形での支援ではなく「フレキシブル」な分「当時者」自らが動かないと支援にたどりつかないところもあります。(たどり着けば納得できる内容ではありますが・・。)
都よりも予算がない分逆に、いろいろ新しい形での支援事業もはじまっていて学齢期の子どもをもつ親としてはともに考え実現する「がんばりがい」もあるようです。
就労と福祉の関係はお話の通りのK県に居住し都内に勤めるのがベストだなあと今までの勉強からも感じておりました。
改めて確認できてとても助かりました。
今後の楽しく拝見させていただきます。
投稿: Y市の母 | 2009年6月29日 (月) 18時03分