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2008年7月

常に前向きに自分の可能性を広げるKさんの姿勢に拍手!!

 3年前に養護学校(特別支援学校)を卒業したKさん。この81日から新たな職場で働くことが決まった。

 新しい職場の『日総ぴゅあ株式会社(日総工産㈱の特例子会社)』さんは、Kさんにとって、3社目の就労先となる。これまでの職場を退職することになった理由は別にして、その都度、きちんと自分自身を振り返り、常にプラス思考で次への挑戦を考えてきている。

前の職場は、今年5月末に退職した。

企業側は、採用時から、Kさんの意欲的な姿勢を評価してくださっていた。

しかし、入社当初の支援体制を継続することが難しくなり、雇用の継続が困難な状況になってしまったことが、退職の一番の理由だ。

本人、企業の担当者、らいむとで、昨年度末から話し合いを繰り返し、合意のうえで、退職を決断することにした。

 退職後の面談で、「過去に体験した業務に執着せず、選択肢をもっと広げて、次の挑戦を考えます」と、次の就労に向けての思いを話すKさん。

 Kさんの力強い言葉に、企業での実習を通して、職種選択の幅を広げる経験を積んでいただきたいと感じ、『株式会社キユーピーあい(キユーピー㈱の特例子会社)』に連絡させていただいた。

 『キユーピーあい』では、知的・視覚・聴覚・肢体・内部・精神障がいのある方を雇用され、業務内容も幅広く、事業を展開されている。

こうした体制とノウハウを活用し、社会貢献活動の一貫として、「障がい者職場実習」を実施してくださっている。実習の中では、ビジネスマナーの講義、業務実習、反省会(振り返り)をおこない、最後には、評価表を作成してくださり、就職活動のポイントを本人および支援機関にフィードバックしてくださっている。

同社の湯田社長は、企業のお立場から、いつも意欲的に障がい者雇用に関わる啓発的なとりくみを発信してくださっている。社長ご自身が、第2号ジョブコーチの研修を受講され、職場の内外に限らず、あらゆる関係機関と都道府県を越えて、連携なさっており、私自身も、いつも湯田社長からは「たくさんの学びと新鮮な刺激」をいただいている。

 教育チーム担当者のN様・G様に、Kさんの事情を説明させていただき、お願いさせていただいたところ、快く、実習を受け入れてくださることになり、6月に5日間の実習期間を設置してくださった。

実習後の振り返りでは、Kさんの障がい特性や実習の目的を踏まえたうえで、「得意なこと」「苦手なこと」をきちんと評価してくださり、また、今後の就職活動で「努力すること」を業務の中での具体的な事例を通して、ご指摘してくださった。

このことが、Kさんにとっては、力強い励ましとなり、次への挑戦意欲が一層、高まった。

 実習後、Kさんから「事務職の中でも、仕分け作業やファイリング作業が中心となる会社はありますか」と訊ねられた。今回の『キューピーあい』での実習体験を強く意識された言葉だった。

Kさんが企業で働いている姿をイメージして、「この会社なら、Kさんにピッタリではないか」と思い、この度、採用してくださった、『日総ぴゅあ』の人事担当者でおられるM様・事業担当者のA様にご相談させていただいた。

 すぐに、お返事をいただき、会社見学と実習の面接のための時間を設けていただけることになり、Kさんといっしょに会社に向った。

立派な社屋に驚き、緊張の色が隠せないKさんだが、面接のときには、いつもの笑顔と親しみの持てる口調を取り戻し、落ち着いて、受け答えされていた。

 面接では、Kさんの気持ちを確認していただき、10日間の実習を実施してくださることになった、

 期間中、1日も休むことなく、実習を終えられたKさん。

実習後の振り返りでは、開口一番、「周囲の従業員の方に優しく、また、時には厳しく支えていただき、実習を終えることができました」と感謝の言葉。

 これまでの就労では、不安になった時、同じ立場で相談できる仲間がおらずに「孤独感」を募らせていたKさんだが、今回の特例子会社という環境の中では、他の従業員の方と「チーム感覚」ですすめる体制に、特に「喜び」を感じたということだった。

「仲間とのコミュニケーションを何よりも大切に」というモットーで進められている企業側の姿勢とうまくマッチングできたことが幸いして、振り返りの席で「採用の方向で考えたい」というお言葉をいただくことができた。Kさんからは、もちろん、満面の笑顔で「どうも、ありがとうございます」という喜びと感謝の言葉が発せられた。

Kさんの再(再々)就職は、離職を「失敗体験」と受け止めるのではなく、失敗からも何かを学びとり、次に向かって、自分を高め、挑戦する姿勢を貫いた努力の結果に他ならない。

そして、Kさんの意欲や努力を認め、応援してくださった『キユーピーあい』の湯田社長、N様、G様。また、その評価を受け継ぐかたちで、新たな挑戦の場を設けていただいた『日総ぴゅあ』のA様、M様の企業の枠組みを超えた連携と温かいお力添えのあったことに、この場を借りて、心からお礼と感謝の気持ちを申し上げたい。

Kさん!! これからも、いつも「ニコニコ」「ハキハキ」「キビキビ」を忘れないで、職場の皆さんと仲良く、がんばってください。

ずっと応援しているからね!

(竹内)

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実雇用率が、3.31%という驚異的な数字になる

7月18日のブログ 『法定雇用率に関わる話~もし、ユニクロ本社を町田市に誘致したら、町田の雇用率はどうなる~』で挙げた数字に間違いがありました。

(7月18日のブログの記事)

平成186月現在のユニクロの実雇用率は、7.42%。Wikipediaで調べたユニクロの従業員数は、1,733人(①)なので、雇用されている障がい者数は、128.5人(②)。

平成1961日現在の、町田市の法定雇用率対象事業所数は103社。算定基礎となる常用従業員数は、18,369(③)。雇用されている障がい者数は、244.5人(④)。

②と④を足して、①と③を足した数で除して、得られる「法定雇用率」は1.85%となる。

と、記事にしましたが、

改めて、ユニクロの法定雇用障害者数の基礎となる労働者数(①)と雇用障害者数(②)の正確な数値(2006年6月1日現在)を調べてみたところ、

①=8,843人、②=656.5人でした。

新しい数値で計算すると、

町田市の雇用率は、なんと、3.31%になりました。

「ユニクロ本社の誘致など『絵空事』」と、笑い飛ばしてしまうのは簡単ですが、そもそも法定雇用率の対象となる企業数自体がべらぼうに少ない町田市。

なにもユニクロに限らずとも、大きな企業を誘致することで、障害者の雇用拡大のみならず、市民全体にとっても就業の機会が創出され、そのうえ、法人税収入も見込まれます。

知的障がいのある人や精神障がいのある人の市役所庁内での「チャレンジド雇用」もそうですが、縦割り行政の枠組みを超えた柔軟なとりくみが期待されるところです。

(天野)

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あいたくて… Tさんがとばした「わたげ」

 今月末に発行予定の、ウィズ町田広報紙14号の原稿を書き終えた。

 今回は、このブログで3回の連載で紹介したTさんのことを記事にさせていただいた。

 Tさんのステキな作品と合わせて、一足早く、ブログで紹介させていただく。

~法人広報紙ウィズ14号 理事長の本棚から~

  あいたくて… Tさんがとばした「わたげ」

Negaigoto_3   

法人広報紙ウィズ10号のこの欄で『ぼくを探しに』の絵本をパワーポイントでアニメーション化する課題にとりくんでいると、紹介したTさんのことを覚えていらっしゃるだろうか?

 就労支援センターらいむの登録者の人が必ずしも、すぐに一般就労を希望しているわけではなく、少し遠回りしても、じっくりと時間をかけて、自分の進む道を探そうとしている人が何人もいると書いた。

 『ぼくを探しに』の課題を終えて、Tさんが次にとりくんだのは、詩人で児童文学者の工藤直子さんの詩集『工藤直子詩集』(ハルキ文庫)に掲載されている「のはらのみんな」の詩を読み、自分が感じたイメージをパワーポイントで表現し、オリジナルの絵本をつくるという難しい課題だった。

 週に一度、らいむに来て、決まった時間、黙々と作品づくりにとりくむTさん。自分のイメージに合わないと、何時間もかけてつくった作品を没にして、また、最初からつくりなおす姿は、まるで昔気質な「職人」のようだった。

 ある日、Tさんに声をかけてみた。

「Tさん、そろそろ(就職にむけて)動きだしてみようか?」

「はい、私もそうしなくてはいけないかなと思っていました」

工藤さんの作品と真剣勝負を繰り返すことで、Tさんの心の中に、きっと変化が生まれたのだと思う。少し、はにかみながらも、力強く自分の意思を伝えてくれた。

ハローワークで求人を探し、応募することになった会社は、らいむの先輩のSくんが働くベビー用品を取り扱う会社。

面接の日。

「自分はコミュケーションが苦手なので、職場の皆さんとうまくお話することができるかが不安です」と話すTさん。

「この会社の人たちはみんな優しいから大丈夫」

「あなたは、まだまだ若いのだから、とにかく今、動きださなくては」と逆に励ましてくださった専務さんの言葉を受けて、

「この会社で働いてみたいと思います」と、気持ちを伝え、採用が決まった

専務さんには、あらかじめTさんのことについてお話をさせていただき、面接の日には、Tさんの「のはらうた」の作品を見ていただいた。

きっと、専務さんは、Tさんの中にキラッと光る原石のような良さを見つけてくださったのだと思う。

そして、3年間の就労継続の中で、現在では会社にとってなくてはならない存在に成長した先輩のSくんが、Tさんの就職の後押しをしてくれたことに感謝したい。

Tさんのとばした「わたげ」は、しっかりと大地に根をおろした。

(天野)

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法定雇用率に関わる話~もし、ユニクロ本社を町田市に誘致したら、町田市の雇用率はどうなる~

「部長の仕事目標」は、市の政策や市民から寄せられる要望などを踏まえて、庁内の各部長自らが部としての組織目標を示し、目標達成へ向けた取り組みを進め、その成果を評価していくものとして、現・石阪市政がスタートしたときから、とりくみが始まっている。

「部長の仕事目標」のねらいとしては、次の3点が掲げられている。

1.経営責任の明確化(政策目標の実現や改革・改善へ向けた取り組みについての責任の所在を明確化し、確実な目標の実現を図る)

2.組織マネジメント力の向上(組織マネジメントの枠組みを制度として構築することにより、各部長のマネジメントリーダーとしての能力を発揮できる環境を整える)

3.情報の共有化と組織風土の改革(組織目標の設定作業を通した庁内のコミュニケーションの活発化、情報の共有化を図る。さらには、組織全体の利益と職員一人ひとりの職務における方向性や価値観を調和させ、チャレンジ精神・起業家精神・改革意欲に溢れる組織風土の形成を目指す)

 711日発行の町田市広報に、その概略が紹介されているが、町田市のホームページには、各部ごとにその全文が紹介されている。(少し探しにくいのだが、トップページ>市政情報>市の取り組み>部長の「仕事目標」でたどり着くことができる)

 さらに、ホームページには、われわれにとってより知りたい、部内の各課の「課長の仕事目標」まで掲載されており、大変、ありがたい。

 今回は、「らいむ」の事業を管轄する「町田市地域福祉部 障がい福祉課」の課長の「仕事目標」のうち、特に「就労支援」に関する項目について、少しコメントしてみたい。

 課長の「仕事目標」は、Ⅰ.課の使命・基本方針、

Ⅱ.目標設定に至った背景(課の現状および課の課題)、Ⅲ.中・長期目標(重点目標およびマネジメント目標)、Ⅳ.今年度の取り組みと目標の章立てで構成されている。

 「Ⅰ.課の使命・基本方針」では、~中期経営計画の「重点施策プラン」「障がい(※者)福祉総合計画」に基づき、障がい者の社会参加や地域で活躍ができる機会を増やします。また、市民と障がい者がともに支えあい、町田に住んで良かったと思えるような仕事を行います。~とある。(※は加筆)

 「就労支援」関係では、これまでにも機会あるごとに触れてきたとおり、「障がい福祉事業計画」にもある「福祉的就労から一般就労への移行者数を、2011年度には、単年度で60名にする」という目標が、中期経営計画の重点施策に挙がっている。

 「Ⅱ.目標設定に至った背景」の前段の「課の現状」では、

 「障がい者の就労支援は、中期経営計画の重点施策として位置づけています。法定雇用率1.8%に対して、都は1.46%、町田市は1.33%です。障がい者の就労支援は障がい福祉課の重要な仕事です」と書かれている。

 今日は、この中の法定雇用率について、少しこだわってみたいと思う。

 障がい者の雇用は、法律によって義務づけられている。(「雇用率制度」という)

一般の民間企業の場合、正規の従業員が56人以上いる企業では、法律に基づいて、一定割合の障がい者を雇用する義務がある。

 「法定雇用率」とは、その「一定割合」を示す数値で、課長の「仕事目標」にある「1.8%」は、「雇用率制度」に基づく、一般の民間企業の「法定雇用率」となる。

 「法定雇用率」は、ほぼ半世紀前の昭和35年(1960年)から、民間企業の努力義務として定められ、昭和51年(1976年)からは、義務雇用制度(最初は身体障害者のみがカウント対象)となった。

しかし、未だかって一度として、達成されたことがないという、なんとも不可思議な制度になってしまっている。

 都の1.46%、町田市の1.33%という数字は、「法定雇用率」に対する、「実雇用率」を示している。

すなわち、実際に、民間企業が障がい者を雇用している割合ということになる。

本来なら、都と町田市の数値を挙げるだけではなく、まずは、国全体の数値を挙げておくことが必要であると思われる。ちなみに、都と町田市の数値と同じ、平成1961日現在の国の実雇用率は、1.55%となり、都、町田市の数値を上回っている。(法律では、障害者の雇用義務のある事業主に対して、毎年61日現在における障害者の雇用状況についての報告を求めている。数値は、まず各ハローワーク管内で集計され、順次、都道府県、国に上がる。厚生労働省が、その報告を集計し、とりまとめた結果は12月頃に発表される)

 町田市1.33%という実雇用率は、もちろん、法定雇用率に達しておらず、国の1.55%、都の1.46%と比較しても低い数値になっている。実際に都内に17ヶ所あるハローワークのうちでもハローワーク町田管内の実雇用率がもっとも低い数値になっているが、これには次のような理由がある。

平成17年の数字(都は3月、町田市は1月)になるが、東京都の身体・知的・精神の障害者手帳を所持している人の人数の合計が、454,216人に対して、町田市は、11,937人。東京都全体を100とした場合、町田市の割合は2.62%となる。

一方で、(こちらは平成1861日現在の数字)法定雇用率の対象となる事業所数が、東京都全体で13,760事業所あるのに対して、町田市(ハローワーク町田管内)では、わずか93社で、割合としては、0.69%にとどまっている。また、法定雇用率の基礎数となる従業員数では、東京都全体で、6,916,486人に対して、町田市では、17,267人。割合はさらに低くなり、0.25%に過ぎない。

逆に、雇用率達成事業所の割合(平成1861日現在)は、東京都全体が29.2%に対して、町田市は39.6%と、10ポイント以上、上回っている。

すなわち、町田市の実雇用率の低さは、決して、市内の民間企業やハローワーク町田が「がんばっていない」という理由からくるものではなく、市内に本社機能を置く大企業が極端に少ないという状況が大きく影響していると言える。(常用労働者数が、1,000名を超える企業に至っては、わずか1社しかない)

ところが、実際には、法定雇用率に反映しないところで、市内の常用労働者数56人未満の事業所やハローワーク町田は、しっかり「がんばっている」

ハローワーク町田の紹介で、毎年150名を超える障がいのある人が新規に就職している。とりわけ、精神障がいのある人の就職数は、他のハローワークと比較しても、抜きん出ていることが特徴となっている。

 もう一度、改めて課長の「仕事目標」の「課の現状」を見てみよう。

 

 「障がい者の就労支援は、中期経営計画の重点施策として位置づけています。法定雇用率1.8%に対して、都1.46%、町田市は1.33%です。障がい者の就労支援は障がい福祉課の重要な仕事です」

 せっかちな人なら、「よし、わかった! 法定雇用率を引き上げることが、就労支援の一番の課題だ!」と思ってしまうかもしれない。

 紙幅に限りのある中での表現なので、もちろん、「法定雇用率を引き上げることだけが唯一の課題である」などとは、障がい福祉課でも考えていないとは信じているが、せっかくの「仕事目標」なのだから、もう少し詳細な説明があればよかったと思う。

もちろん、法定雇用率を引き上げることは重要な課題だが、おそらく、この問題は、障がい者雇用を促進するという立場だけで論じていても、なかなか改善は難しい。

ハローワーク町田管内の一般求人の有効求人倍率(求職者1人に対して、どのくらいの職のニーズがあるかという割合)は、23区内と比較して、3分の1に過ぎない。一般の人(障がいのない人)も障がいのある人と同様に就職の困難さを抱えている。

雇用創出のための産業誘致・企業誘致といった大きな観点から、問題解決を図っていくことが必要であろう。障がい福祉課からは、障がい者雇用の促進を切り口に、部課の枠組みを超えた雇用創出に関わる「発信」をしていただければと願う。

ところで、「もし、障がい者雇用率全国1位のユニクロ本社(山口県山口市にある)を町田市に誘致できたら町田市の法定雇用率がどこまで伸びるか」を試算してみた。

平成186月現在のユニクロの実雇用率は、7.42%。Wikipediaで調べたユニクロの従業員数は、1,733人(①)なので、雇用されている障がい者数は、128.5人(②)。

平成1961日現在の、町田市の法定雇用率対象事業所数は103社。算定基礎となる常用従業員数は、18,369(③)。雇用されている障がい者数は、244.5人(④)。

②と④を足して、①と③を足した数で除して、得られる「法定雇用率」は1.85%となる。

(めでたく、法定雇用率を達成!!!)

「お遊び」のように思えるかもしれないが、法定雇用率を引き上げることだけを考えるならば、ユニクロに限らず、障害者雇用に力を入れている企業の本社を町田市に誘致することができたなら、確実に雇用率はあがる。同時に一般の雇用創出にもつながることはいうまでもない。

いずれにせよ、行政の障がい者就労支援や雇用促進にかける「本気度」が問われてくることは間違いない。

ずいぶん、長くなってしまったので、今日はこのあたりでおしまいにする。

課長の「仕事目標」、部長の「仕事目標」に対するコメントの続きは、また明日以降に書きたい。

(天野)

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決して、あきらめない気持ちがあれば、夢はかなう!

 3月26日のブログで紹介させていただいた、らいむの登録者のKさんと、4月19日のブログで紹介させていただいた「ワタミ」さんとの間に、ステキなコラボレーションが実現しました。

 以下、Kさんを支援した竹内職員のレポート報告です。

………

 Kさんおめでとう!

 7月7日に初出勤を迎えたKさん。

 この日を迎えるまでの道のりは、決して平坦なものではなかった。

 初めてらいむに来所されたのが、今年の2月。

 それから約5ヶ月間、地道な就職活動にとりくまれてきた。

この度、Kさんを雇用してくださったのは、

 ワタミ手づくりマーチャンダイシング株式会社の手づくり厨房事業所 相模原センター。

 同事業所のKセンター長様には、今回のKさんの雇用にあたっては、とても温かいご配慮・ご対応をいただき、本当に感謝しております。

Kさんは、30年来の大工の仕事中に

突然、脳卒中で、倒れ、右片麻痺(利き手側)の後遺症を負った。

懸命なリハビリ生活を経て、社会復帰できるまでに回復。

迷惑をかけた家族に、恩返しをしたいという気持ちから

働き口を探して、少しでも家計の足しになればと希望され、らいむに相談に来られた。

何事も対しても、決して諦めない姿勢。

どんなに困難な事にも、自分で考え、挑戦される行動力。

また誰に対しても優しく、知らぬ間に、周囲の人々を明るくさせてしまうお人柄に接して、なんとしても力になりたいと思った。

最初は、同社の別の事業所での求人に応募することになり、私も本社面接に同行させていただいた。

本社の担当者のM様も、Kさんの就職に向かう姿勢を高く評価してくださり、とても良い感触を得たが、残念ながら、応募した事業所では体制上、雇用が困難な状況という結果をいただくことになった。

それでもあきらめきれず、無理を承知で再度、本社担当者のM様にご相談させていただいたところ、手づくり厨房事業所 相模原センターでの採用へとつながった。

本社のM様、Kセンター長様は、「人材」を「人財」と受けとめてくださるご対応で、面接中に何度も「ありがとう」という言葉の大切さを伝えてくださった。

高い就労モチベーション、周囲を明るくさせる人柄、何事も前向きに取り組む姿勢のあるKさんだが、身体面のハンデから、どうしても、こなせる業務内容が狭まってしまうことが避けられない状況がないとはいえない。

そんなKさんに対して、Kセンター長様は、

「できる事を一生懸命にこなしていただきたい」

「絶対に無理はしないで、疲れた時には相談してください」

「Kさんにしかできない業務は必ずあります。一緒に考えていきましょう」とお話してくださった。

 Kさん共々、私も感激と感謝の気持ちでいっぱいになった。

面接の後、就業場所となる事業所内を見学させていただいた。

この事業所は、ワタミグループの居食屋「和民」の各店舗に提供する食材を製造・加工する工場であり、最初に面接を受けた事業所(介護サービス)のような直接的な接客業務はない事業所。

しかし、一方で外部からお客様のご対応ということで、定期的に「見学会」が実施されている。

見学者の中には、居食屋「和民」の各店舗の店長様も来られ、食材製造の工程や調理の仕方などを学ばれる。その事が、各店舗でのお客様へのより丁寧な対応に繋がっていくのだという。また、製造する側の従業員も、各店舗からの声を耳にすることができるきっかけとなり、その事で外部からの「刺激」をいただき、励みになるという。

仕事では、常に「チームワーク」が要求される。

外部と内部、上司と部下といった関係を超えて、互いに意見を出し合い、事業展開を積極的に図っていくために、手を携えて取り組まれている姿勢は本当に素晴らしいと思った。

こんな企業文化を背景に、ワタミでは、障がい者雇用においても、障がい種別や程度に関係なく、「その人の人柄や姿勢」を重視して、まず「人」を第一に考え、とりくんでくださっている。

 素晴らしい職場で働く機会を得た、Kさんの今後のご活躍を心より願いたい。

(竹内)

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小さくても障がい者雇用に熱心にとりくまれている企業がこの町田にはたくさんある。

 Tさんが今回、面接を受けさせていただくことになった企業は、町田市内で昭和50年から育児用品、福祉用具のレンタル・販売と、ふとん乾燥・丸洗いの業務をされている『株式会社ベビーランドタマベビー』さん。

 らいむが初めて関係を持たせていただいたのは、3年前(2005年)の8月になる。

 当時は、まだ精神障がいのある人は、法定雇用率のカウント対象になっておらず、ハローワークで障害者求人を検索して、応募してみても、結局は雇用率に反映しないことで、結果を得ることがとても難しかった。

 現在もそうだが、らいむの利用登録者のうちでは、精神障がいの人が占める割合が一番高く、45%くらいを占めている。

 障害者求人では、なかなか結果が得られないこともあって、らいむでは、一般求人の企業に「売り込み」(職場開拓)をおこなうことにした。とは言え、当時は、「精神障がいのある方で…」と言っただけで、「うちでは、ちょっと…」という企業がやはり多く、面接を受けてくださる企業は100社のうち3社くらいというのが現実だった。

 『ベビーランドタマベビー』さんは、そんなありがたい、稀有な企業の1つだった。

 らいむの登録者のSくんの面接には、私とS職員が同行し、Sくんの障がい特性や仕事の力について説明させていただくことと併せて、らいむの事業や、精神障がいのある人の就職の厳しさについて話させていただいた。

 知的障がいのある人の雇用経験はあるが、精神障がいのある人を雇用した経験は皆無ということで、最初は、精神障がいそのものに対しても、ある種の先入観を持たれていたようだが、Sくんの人懐っこい性格と、われわれのつたない説明が功を奏したのか、結果的には、Sくんを採用していただけることになった。

 やる気満々で、仕事に臨んだSくんだが、がんばりすぎた反動が出て、2ヶ月したところで、「仕事を辞めたい」と言い出した。その後も1年くらいは、何ヶ月に1回か不調の波が押し寄せるたびに、「辞めたい」と口にして、その都度、会社とらいむとで話し合いを持って、対応を考えてきた。

 詳細は、また機会がある時に、書くことにするが、結果的には、その後、Sくんはすっかり職場に馴染み、3年近く就労を継続している。現在では、「Sくんがいてくれないと本当に困る!」という高い評価をいただいている。

 前に書いた『ワタキューセイモア』さんもそうだが、「一度、雇用した限りは、本人を一人前に育てることが企業の責任」と、長期的なスパンで本人の成長を見守ってくださっている企業の温かいご配慮あってのことだが、今回のTさんの面接をこころよく受けてくださることになった一番の「功労者」は、就労を続ける中で、成長し、厚い信頼を得るようになったSくんであると思う。そして、とても感謝している。

 面接当日のTさん。待ち合わせのバス停に現れたときには、表情も強張り、緊張が隠せない。

 面接では、N専務さんにご対応いただいた。

 N専務さんが、まず話されたのはSくんのこと。

 「最初のうちは、本当にうちでやっていけるのかと心配したが、今では、会社になくてはならない存在になったこと」を話していただいた。

 その後、Tさんの緊張や不安を気遣いながら、「会社の人たちは皆、優しい人たちばかりだから大丈夫」「最初から、がんばりすぎなくても良い」「仕事は、周りの人たちから教わってゆっくり覚えていけば良い」「あなた(Tさん)は、まだまだ若くて、いろいろな可能性を持っているのだから、躊躇してばかりいないで、まずは動き出してみることが大切」…とお話していただき、また、社内を丁寧に案内していただいた。

 「緊張して、まったく話せなくなってしまうのでは?」と心配していたTさんだが、N専務の優しい語り口に、いつの間にか緊張も解けて、早口ではあったが、「周囲の人が忙しそうに働いているときに、分からないことを質問するのをためらってしまう」「自分から人に話しかけることが苦手なので、昼休みなどのコミュニケーションが心配」…と、しっかり自分の気持ちを伝えることができた。

 なんだか、N専務の中では、「Sくんの後輩にあたるらいむの登録者だから…」ということで、初めから採用を前提に今回の面接を受けてくださったようで、Tさんの言葉に自信のなさが覗くたびに、「大丈夫だから」と逆に励まのお声をかけていただき、本当にもう、ありがたいばかりだった。

 最後に「Tさん、どうしますか?」と訊ねられ、自分から「がんばってみたい」と決意表明をしたTさんの、7月16日からのトライアル雇用が決まった。

 帰り道、家族も今回の面接を一生懸命に後押ししてくださったこと、ちょうど時期を同じくして、お兄さんも正社員としての就職が決まったこと、だから、「自分もがんばらなくっちゃ!」という気持ちが芽生えたことを、はにかんだ表情で明るく話すTさんが、ぐ~んと大きくなったように感じられた。

 求人票のデータでは、『ベビーランドタマベビー』さんの従業員数は52人(うちパートが21人)ということで、法定雇用率の対象企業にはなっていない。それでも、Sくん、Tさんのふたりの障がいのある方に、安心して働ける職場を提供してくださっている。

 ハローワーク町田の実雇用率は、残念ながら、都内のハローワークの中では、最下位の数字となっている。しかし、これには、そもそも管内にある法定雇用率の対象となる企業数自体が、他のハローワークと比べて、格段に低いという事情がある。

 それでも、この町田には、『ベビーランドタマベビー』さんのように、実雇用率にはまったく反映されないけれども、障がいのある人たちの働く場を支えてくださっている企業がいくつもある。

 先週末、生憎、私(天野)は出張中で留守だったが、町田市の石阪市長が、6月議会での「現場を訪ねて、現場の声を聞いてみたい」という宣言通りに、わざわざ、らいむを訪ねてくださった。

 次の機会には、ぜひとも、市長を『ベビーランドタマベビー』さんのような、(大変、失礼だが)小さくても、障がいのある人の雇用に真剣にとりくんでくださっている企業に、ご案内させていただきたいと思う。もちろん、感謝状を携えて!?

(天野)

 

 

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「以心伝心!」 ~ハローワーク職員との連携プレイ~

 「そろそろ就職活動を再開してみない?」という提案を前向きに受けとめてくれたTさん。

 本人の決意が揺らがないように、その場で、ハローワークの求職者登録申込書(らいむにいつも用意してある)に記入して、1週間先の予約を入れた。

 翌週、ハローワークへ同行。先週、別れる際に、「就職を意識して、少しずつ朝早く起きられるようにがんばってみること」「就職活動を再開することを家族に宣言すること」を課題提示していたので、成果を聞いてみる。

 「朝は8時台に起きられるようになったこと」「家族に宣言したところ、励ましの言葉をもらえたこと」を、はにかみつつ話してくれた。

 ハローワークで登録を済ませた後に、求人検索。

 障がい者求人には、適当なものが見当たらなかったので、思い切って、一般求人から検索することにし、4件の候補に絞り込んだ。

 本人は、「自分ではなかなか決められない」「自己決定が苦手」と話していたが、求人票に書かれている従業員数や仕事内容から職場の雰囲気を読み取り、最終的に1社に絞り込んだ。

 ハローワークでは、最初は緊張が強く、声も小さかったが、段々、就職のイメージが持ててきたのか、後半は、しっかりと自分の思いや意見を主張することができるようになった。

 Tさんがパワーポイントでつくった作品も持参して、ハローワークの職員にも見ていただいた。

 ハローワーク町田の専門援助部門の職員さんがすごいところは、作品を見るや否や、こちらの意図を読み取ってくださり、Tさんの緊張を解き、自信が持てるような言葉かけをしてくださったこと。

 障がいのある人の就職活動の成否は、ある面、どれだけたくさんの人が、その人の良さに惚れて、応援してあげようという気持ちになれるかどうかにかかっている。(もちろん、その人自身が、就職に向けての高いモチベーションを維持して、努力していることが前提にはなるが)

 この日、Tさんに対応してくださったF統括を始め、ハローワーク町田の専門援助部門の職員の皆さんのそのあたりのセンスの良さは、おそらく他のハローワークにひけをとるわけはないだろう。まさに「以心伝心」の連携プレーに心から感謝です。

 「今はまだ少し、ふわふわとした気分。面接の日が決まって、本格的に動き出すことになったら、もっともっと緊張してしまうかも。でも、私、動き出したんですよね」と紅潮した顔で話すTさんが、先週よりも一段と大きく見えた。

 残念! 今日も時間切れ。

 実は、Tさんが奇しくも最終候補に絞った会社は、らいむとも縁の深い会社。

 この日、ハローワークから応募希望の面接をかけていただいたところ、担当者の方が不在だったため、らいむから連絡を入れて、事情を伝え、面接の日程を決めていただくことになった。

 次回は、いよいよ、Tさんの企業面接編。乞う、ご期待を!

 

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時には、回り道することも必要

 らいむの運営主体である

ウィズ町田の広報誌の『理事長の本棚』のコーナーで、

毎号、私がお薦めしたい本と絡めて、就労支援にまつわる話を書いている。

 第10号(↓)では、シルヴァスタインの『ぼくを探しに』をとりあげているが、

http://www.with-nanairo.com/With10.pdf

 この絵本をパワーポイントを使って、アニメーション付の楽しい作品に仕上げてくれたのがTさんだ。

 

 現在23歳のTさん。

 小さい頃は、田舎の山や川で遊びまわる活発な子供だった。

 中学3年生のときに、町田市に転入してきた。

 田舎で暮らしていたときは、1学年1クラスの小さな学校に通っていたが、転校先は、マンモス校で、すっかり周囲に圧倒されてしまって、学校に行けなくなってしまった。

 進学した高校は、なんとか、がんばって、通いきったが、人と話すことに怖気づいてしまい、友だちをつくることができなかった。卒業後は、企業に就職したが、特に同年代同姓の人に対する苦手意識が強く、自分の気持ちをうまく伝えることができず、人間関係が辛くなって退職してしまった。

 去年の秋に、らいむに来た頃は、何に対してもまったく自信を失くし、蚊の鳴くような声で、返事をするので精一杯だった。

 「今のコンディションでは、就労は難しい」というTさん自身の気持ちをまずは、受けとめ、らいむとしても、すぐに就労に結び付けようという考えはないことを話した。

 そのうえで、「決まった時間、決まった場所で、決まった仕事」をすること」が、「就労の構造」と話し、本当は主体的に、自分の課題を選び取ってほしいのだが、そのときのTさんには、それだけの意欲や力のないことも率直に指摘して、継続的にとりくむ課題として提案したのが、「動く絵本づくり」だった。

 それから8ヶ月間、週1回のペースで来所して、1日2時間コツコツと課題にとりくんできた。

 Tさんにとっては、まったく初めて触れるパワーポイントだったが、すばらしい集中力を発揮して、基本操作は即座に習得し、あっという間に「先生」役のらいむの職員のレベルを超えてしまった。

 何よりも感動したのは、作品から伝わってくるTさんの豊かな感性だ。いつの間にか、自分のカケラを探し続ける、絵本の主人公と、自分の進むべき道を模索するTさん自身とが重なって、すばらしい作品が完成した。(Tさんの作品を、PC専門学校の先生にお見せしたところ、『これは、もうパワーポイントの域を超えています』と感嘆の声をいただいた程の出来栄え)

 Tさんが少しずつ、自信を取り戻してきているという実感を得て、6月の半ば。

 「Tさん、これだけすばらしい仕事ができるのだから、そろそろ就職活動を再開してみない?」と、提案してみたところ、しばらく考えた後に、「ハイ、がんばってみます」と明るく応えてくれたTさん。

 あ~、この後がいよいよクライマックスになるのだが、残念ながら今日はもう時間切れ。続きは、また明日(以降!?)

 

  

 

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